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軍事クーデター下におけるミャンマーオフショア事業の運営について

EDIT BY たけ
たけ

2021年2月に発生した軍事クーデターは当たり前ですが仕事にも影響を与えています。
クーデター状況下で、ミャンマーでのオフショア事業の運営方針や現状についてまとめました。

仕事を続けるかの葛藤

まず、クーデターの状況下で、治安が悪化していることが心配です。
私が知るかつてのミャンマーは、治安が良く、日常的に社員の命の危険を考えたことはありませんでした。

夜中に1人でふらっとお酒を飲みに行って、外を歩いていても何も問題がなかったあの日々が懐かしいです。

とにかく今は、通勤の最中でも社員の身に危険が及ぶ可能性があるので、このような状況下で仕事を続けるべきかどうか悩みました。

しかし、インターネットが使えている以上、社員の雇用を維持して給料を払い続け、現在の政治問題解決後にちゃんと仕事を残すこと、

そして、更に雇用を増やすことが私にできるミャンマーへの貢献だと考え、できる限り社員の安全を確保した上で業務を続けるという経営判断をしました。

リモートワーク

幸い、私の会社はIT事業がメインですし、コロナ禍でリモートワークの導入をしていたため、社員には基本的にリモートワーク で家から出ずに業務対応してもらうことで業務を続けるベースが整っていました。
(リモートワークの社員にも各人の家に会社負担でインターネット固定回線を引いていました)

他にも、会社の上階が寮になっていて約半数の社員が寮に住んでいるため、外に出ることなく業務対応ができています。

リモートワークの対応については下記の記事を参考ください。
コロナ禍の1年を振り返って(ITオフショア経営編)

ここからは、業務を行う中で日々発生する問題に対して、2月の1ヶ月でどのように対応したかを共有します。

インターネット遮断

私の会社はシンガポール資本のインターネットプロバイダとミャンマー資本のインターネットプロバイダを2つ契約しています。

これは、コロナやクーデターには関係なく、まだインフラが盤石とはいえないミャンマーでオフショア事業を行う中で、片方のインターネット会社が何かの問題で繋げなくなってももう片方で業務を続けられるようにするためのバックアップです。

今回も、片方のプロバイダは繋がりにくい、など問題があってももう片方のインターネット回線を使用することで業務対応は続けることができました。

また、私の会社がモン州モーラミャインという、主要都市のヤンゴンでもネピドーでもマンダレーでもない都市で運営していることも功を奏し、ヤンゴン等に比べて遮断の影響を受けにくいという状況も継続した事業運営の見方をしてくれました。

2月の1カ月間では、インターネット完全遮断の影響を受けたのは2日くらいで、私と日本側の社員でその分はカバーして対応したので、ほとんど影響は出さずに続けられています。

デモへの参加

CDM(不服従運動)への参加を希望するミャンマー人社員も、当たり前ですが出てきます。
不参加を強制することなどできないので、(ミャンマーでそうしてしまうと、「会社を辞める」という従業員の意思決定に繋がってしまいます。)基本的には希望者は許可しました。

ただ、一方的に休みを取らせるのではなく、オフショア対応中の案件納期が間に合うように会社からも社員に要望し、他の日に休んだ分の対応をしてもらう約束してもらいました。
(ケースによっては、有給を使用するなどの対応もしました。)

社員たちの希望も聞き入れながら、会社からも社員に対してお願いをする形で今も運営を続けています。

身の安全の確保優先で

ミャンマー現地法人の社員たちには、業務対応を続けてしてもらっていますが、身の安全に危険が及ぶ状況の際には、自己の判断で身の安全の確保を最優先して行動するように指示しました。

バックアップ体制

これまで記載したように、会社の運営は続けてできていますが、いつインターネットが完全遮断して連絡が取れなくなるか、内紛状態になって社員を避難させた方がよくなるかわからない状況です。

そこで、バックアッププランを策定して、オフショア発注元の各クライアントにも通達しました。

一例を紹介すると、

  • 業務時間の変更(ミャンマー午前8時から午後5時だったのをミャンマー午前9時から午後6時に変更した)
  • インターネットが使えるか確認の体制を敷いた
  • 毎日引き継ぎをして日本側で巻き取り対応できるようにした

などです。

業務時間の変更

ミャンマーで、毎日深夜1時から朝9時までインターネットが遮断されていることを受け、業務時間を1時間後ろ倒しました。
(3月2週目から、再開時間が6時台や8時台になったりまちまちですが、まだ再変更はしていません)

インターネットが使えるか確認の体制

毎朝、現地の社員から、インターネットが使えるようになったらその時間を報告してもらっています。
また、日本側の社員には、1時間以上現地の社員誰とも連絡が取れなくなったらすぐに私に連絡をするように指示しました。

連絡が取れなくなった際にすぐにその後の対応を判断できるようにするためです。

日本側で巻き取り体制

私、日本側の社員、現地で日本語学校の教師をしていた社員(コロナ禍で一時帰国し、オンラインで授業等対応中)の日本側のメンバーでできる限り業務巻き取りができるように、継続中の案件についてミャンマー側と都度進捗状況を確認して引き継ぎしています。

また、オフショア発注元の各クライアントには、最悪再委託の可能性も事前にお伝えしています。
ミャンマーで業務対応ができなくなった場合に、日本で私が伝手がある企業に再委託する計画です。(私の会社から、赤字発注となっても行うつもりでいます)

もちろん、元々の契約条項に基づき、勝手に業務内容を他社に伝えたり、委託したりはしないので
再委託をしないとクライアントに迷惑をかけそうな可能性が出てきた段階で、クライアントに相談し、その後の対応について協議する形を想定しており、その考えを事前に各社にお伝えしました。

幸い、今のところはその心配はなく運営できていますが、非常時のことを考えて先にバックアップ体制を作った形です。

おわりに

ミャンマーのクーデター問題はまだ終わりは見えず、現地でオフショア事業を運営する企業にとっても厳しい状況です。

しかし、ミャンマーで雇用を維持し、更にはコロナとクーデターのダブルパンチで失業率と貧困率が急上昇しているミャンマーにおいて、就業の場合を提供し、新たに雇用を創出できるようにすることが私にできることだと思っているので、引き続き頑張ります。

外注先としてオフショアのパートナー企業をお探しの場合、今の状況でミャンマーオフショア企業に発注されるのはリスクがあると判断されそうですが、私が経営するクオリーはバックアップ体制を敷いてご迷惑をかけないように対応しますので、オフショア外注先をお探しの際にはぜひお問い合わせください。

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