ミャンマーを知る
ミャンマーの農業事情【ミャンマーの産業】
こんにちは。
今回はミャンマーという国をもっと知るために農業について調べてみました!
ミャンマーの農業のイメージ
ミャンマーと聞いて最先端の工業力や世界の金融拠点みたいなイメージを持つ人はほとんどいないと思います。
おそらくですが、多くの人が工業や商業より農業のほうが盛んな国というイメージを持っているのではないでしょうか。
個人的な話ですが、私の場合、初めて本格的にミャンマーに触れるまでは米とバナナとゴムの木を作ってる国でしょ?と思っていました。
この機会に改めてミャンマーの農業について考えていきたいと思います!
ミャンマー農業
農用地
- 農用地の割合:18%
- 耕作可能な空き地:9%
(ミャンマー中央統計局より引用)
国土面積に対する農用地とそれに転用可能な空き地の割合は2010年から増減を繰り返しつつほぼ横ばいのようです。
しかし農用地の中でも休耕地の割合は年々わずかずつではありますが増加しているので、全体的には下火なのかな、という印象を受けました。
とはいえ、ほかの産業用地も目に見えて増えているわけでもなさそうなので断言はできません。
ちなみにミャンマーの農用地の割合は東南アジアの中で比べるとかなり低いです。しかしそもそも国土面積が広く、北部には山岳地帯も広がっているので、実面積でいうとタイに次いで3番目(2016年)になります。
また農家ごとに保有している農地面積を比べると、農地面積5エーカー以下の農家が圧倒的に多く、小規模で経営されていることがうかがえます。
農作物
穀物の生産量ランキング(2018年)
- 1位:米(27,573,589トン)
- 2位:サトウキビ(11,397,183トン)
- 3位:トウモロコシ(1,984,136トン)
- 4位:落花生(1,562,248トン)
- 5位:玉ねぎ(1,014,209トン)
- 6位:オウギヤシの実(1,078,518トン)
- 7位:緑豆(996,279トン)
- 8位:ブラックマッペ(928,769トン)
- 9位:ゴマ(629,107トン)
- 10位:ココナッツ(565,604トン)
(ミャンマー中央統計局より引用)
豆類、ゴマは政府が輸出用品目として強化を進めているので上位に食い込んできますね。
野菜の生産量ランキング(2018年)
- 1位:トマト(708,406viss)
- 2位:キャベツ(281,838 viss)
- 3位:カリフラワー(218,227viss)
- 4位:スイカ(204,836viss)
- 5位:からし菜(188,811viss)
- 6位:うり(162,134viss)
- 7位:かぶ(155,734viss)
- 8位:レタス(62,491viss)
- 9位:にんじん(13,677viss)
- 10位:アスパラガス(2,923viss)
(ミャンマー中央統計局より引用)
もうちょっとスイカが上位に行くのかな、と思いましたが僅差で4位。カリフラワー大健闘。
注
オウギヤシの実:白いゼリーみたいな実。あんまり味はない。
ブラックマッペ:もやしの豆の黒いやつ(緑豆は緑のやつ)。
からし菜:にがいほうれん草みたいな葉っぱ。英語はマスタード。
viss:ミャンマー独自の単位。1viss=1.65㎏ぐらい。
これを見ると各部門で米、トマトは圧倒的ですね。
2つとも実際にミャンマーでよく食べられているものなのでかなり納得感はあります。
果物もランキングを出したかったのですが、単位が統一されていなくて自分では調べきれませんでした…ごめんなさい。
ミャンマーの農業で曲者なのが野菜の単位で書いてあるvissです。
私たちにはなじみのない単位ですが、ミャンマーでは一般的なのでよく使われています。
買い物するときなどは「思っているよりかなり多いぞ…」ぐらいの覚悟でいいんですけど、しっかり農業にかかわろうとすると正確に把握する必要があるでしょうね。
ミャンマー農業の課題と取り組み
土地なし農家の貧困
ミャンマーの農家は先にも述べたように、ほとんどの農家が5エーカー以下の農地でやりくりしています。
この中にはそもそも自前で農地を確保しているのではなく、土地を持っている有力な農家から農地を貸借して農業をしている方も少なくありません。
こういった土地を持っていない農家の方々はもれなく厳しい生活を強いられていて、生きていくためには農家であることすらあきらめて流動的に日雇い労働などに従事しなければいけないことも多々あります。
問題山積みの産業構造
上記の土地を持っていない農家の問題のほかにも、ミャンマーの農業は現状様々な問題をはらんでいます。
灌漑や土壌改良等の技術不足によって、土地の有効活用がしにくかったり。
機械化が進んでいないため、人的にも時間的にもコストパフォーマンスが悪かったり。
交通インフラが整っていない地域では、輸送トラブルで作物の質が担保できなかったり。
農作物の販路も限定的で、特に国外への輸出は相手国の事情に大きく左右されたり。
資金投入して解決しようにも、資金調達先が個人の高利貸ししかいなかったり。
他にもたくさんありますし、細かく言えばきりがないほどです。
問題解決に向けた取り組み
なんだか八方ふさがりみたいな書き方になってしまいました。
しかし!ミャンマー農業の未来は明るい!!
問題解決に向けた取り組みをいくつかご紹介します!!
有機栽培の奨励
富裕層に向けたオーガニック野菜専門店などは既にヤンゴンなどの都市部にありますし、大型スーパーでは無農薬野菜の取り扱いが広まりつつあります。
中間層や低所得者にまで浸透しているかというとまだ課題はありますが、健康に対する意識でいうと富裕層に限った話ではありません。
より多くの消費者に有機栽培で作られた農作物を届けることができれば販路の拡大につながりますし、オーガニックであることを付加価値として評価してもらえれば収益の安定化も見込めますね。
既にNGOなどを中心として各農村に対する有機栽培についての研修や実践が始まっています。
一見すると近代的で機械化された大規模農業から逆行するような印象もありますが、農地も資金も限られているミャンマーの農家には現実的な挑戦なのかな、と個人的には思いました。
近い将来、世界をリードするオーガニック大国としてミャンマーが君臨する日がくるかもしれません!
輸送や流通の改善
国内の交通インフラを整えることは、農業に限らずミャンマーの火急の課題だといえるでしょう。
道路や橋、港湾や空港の整備が急ピッチで進められています。
流通経路が確保されれば、今以上に販売先の選択肢が広がるはずです。
農業の場合はそれに加えて輸送中の品質確保も考えなければいけません。
外資系の物流会社の投資や試験的運用の中で、様々な技術や設備が実用に向けて検討されています。
例えばミャンマーの主力農作物であるマンゴーは、輸送中の傷を防止する耐震パレットや光センサーでの品質チェックなどを用いて、劣化や廃棄を防ぐ取り組みが行われていると日系の物流企業の報告がありました。
現在は政情不安により外資系からの投資が難しくはありますが、官民を問わないフレキシブルなチャレンジに期待大ですね。
資金調達の健全化
農家の資金繰りを改善するためにも様々な取り組みが見られます。
日本からは例えば2015年に外交政策の一環として、小規模な農民グループを組織して農業用機械の共同購入を目指す事業が行われました。
NGO団体や外資系金融企業の中には低所得者に向けた少額の融資(マイクロファイナンス)を進めているところもあります。
もちろんミャンマー政府も農家向けの融資を扱っていて、コロナ禍で打撃を受けた農家には特別に融資政策をうつなどもしていました。
各農家がそれぞれにあった融資プランにちゃんとアクセスすることで、法外な暴利に苦しむことが減ればいいですね!
さいごに
いかがでしたか。
今回の記事を書くにあたっていろいろな団体の報告や考察を参考にさせていただきました。
農業だけでも新しい発見がたくさんあったので、次は漁業や畜産にも注目して記事にできればと思います。
ARCHIVE
- 2024年12月(2)
- 2024年10月(1)
- 2024年9月(2)
- 2024年8月(3)
- 2024年7月(1)
- 2024年6月(2)
- 2024年5月(4)
- 2024年4月(4)
- 2024年3月(3)
- 2024年2月(4)
- 2024年1月(3)
- 2023年12月(3)
- 2023年11月(5)
- 2023年10月(4)
- 2023年9月(5)
- 2023年8月(6)
- 2023年7月(8)
- 2023年6月(4)
- 2023年5月(2)
- 2023年4月(2)
- 2023年3月(4)
- 2023年2月(2)
- 2023年1月(8)
- 2022年12月(3)
- 2022年11月(4)
- 2022年10月(6)
- 2022年9月(15)
- 2022年8月(7)
- 2022年7月(2)
- 2022年3月(1)
- 2022年2月(8)
- 2022年1月(9)
- 2021年12月(9)
- 2021年11月(13)
- 2021年10月(9)
- 2021年9月(6)
- 2021年8月(1)
- 2021年7月(3)
- 2021年6月(6)
- 2021年5月(4)
- 2021年4月(9)
- 2021年3月(5)
- 2021年2月(7)
- 2021年1月(17)
- 2020年12月(4)
- 2020年11月(12)
- 2020年10月(4)
- 2020年9月(3)
- 2020年8月(3)
- 2020年7月(2)
- 2020年6月(6)
- 2020年5月(12)
- 2020年4月(8)
- 2020年3月(1)
- 2020年2月(1)
- 2019年6月(7)
- 2019年5月(7)
- 2019年4月(12)
- 2018年2月(1)